期間限定、多様なクリエイターたちの交差から生まれた
唯一無二の複合施設

大橋会館は、池尻大橋駅から徒歩5分に位置する築48年の同名の建物を大規模リノベーションし、新たな文脈と役割を付与することで現代に蘇らせた複合施設です。

池尻大橋エリアは、求心力のある個人店や場が多く点在していますが、その規模も含め様々な役割や用途を引き受けられる場がありませんでした。また、都心部に近いエリアでありながらもトレンドに従うことを嫌い、自分たち自身のスタイルと価値観に立脚した自由な生き方を好む人々が多く集う街でもあります。

大橋会館は、そのようなローカルの文脈をリスペクトすることで池尻大橋周辺のコミュニティのハブ的な存在としてローカルに貢献していくこと、また外に対して池尻大橋の現代的な魅力を積極的に発信していくことで、外と中のコミュニティの交差点としての役割をも引き受けていくことを目指しています。

時限性のプロジェクトでもあるこの建物は、それが故に様々な制約の中で生まれました。その結果、元の状態から手つかずのままの歴史を感じさせる部分と、現代的な発想と感性で緻密にデザインされた部分が絶妙な塩梅でミックスし、偶然性の集合が生んだ唯一無二の建物へと結実していきました。

この場に滞在していると、どこまでがデザインされたもので、どこまでが偶然の産物なのか、だんだんとわからなくなってきます。その体験は、「物事が綿密な計画の上に作られることが本当によいことなのか？」と滞在者に問い掛けてきます。そういう意味で、この建物の存在やここでの経験は、それ自体がある種のアート性を内包していると言えるのかもしれません。